『歴史を彩る 教科書に載る名品』展@藤田美術館鑑賞とその後の幸せな飲み

5月29日。
行こう行こうと思ってたけれどなかなか暇が取れなかった藤田美術館へ、満を持して赴く……はずが、のたのたしていたら午後3時になっていた。
慌てて地下鉄を乗り継ぎ、大阪ビジネスパーク駅に降りた時点で3時50分過ぎ。半泣きになりながらダッシュ、どうにか入場に間に合った。
閉館は4時半だから、30分しか観られないけど、まあよしとしよう。

病院の待合室のような廊下を抜け、展示室に入る。
旧財閥の藤田邸内にある蔵をそのまま改装して使っているそうで、重厚な窓扉や太い梁が見事。
二階の真ん中、ガラスケースに守られているのが本日の目当て、曜変天目茶碗
おおよそ5年に一度展示するという話なので、ぜひともこの目で見ておきたかった。

想像していたより小さい。
高台がきゅっとすぼんでいるから、黒い半球がわずかに宙に浮いているように見える。
器の中、瑠璃色に滲んだ斑点が、飛沫のように鮮やかに浮き出ている。
月並みな喩えだけど、宇宙。
それも……宇宙の全体図。
今まさに星が沸くように生まれている若い星雲と、漆黒の静謐が対峙している。
茶碗というより、装置のよう。
たとえば遠い未来、人類が宇宙を縦横に駆け巡る頃、はじめて宇宙船で旅行する子供が、父親にねだった星図盤。
それがこんな形だったら素敵だろうな。そんなことを考えていた。

堪能した後(敢えて言うなら、手のひらに納めてためつすがめつしたかったけれど)、他の展示品を押し気味に鑑賞。
『教科書に載る名品』の題目に偽りなく、歴史に明るくない自分にも、聞き覚えがある名前、見覚えがあるものがそこかしこにある。
結局、閉館時間の4時半を10分過ぎたところで、係員さんに声をかけられタイムオーバー。後ろ髪を引かれる思いで外に出た。

館内も展示も規模は小さめだけど、それが逆に上品な骨董品店みたいな、落ち着いた雰囲気を演出していて、大変に好印象。開いた窓から入ってくる風と自然光も気持ちよかった。
これはもう一度来ないと。次いつ観られるかわかないし。

当然これは、飲まないわけにはいかない心境。でもまだ日は傾きはじめて間もない。
一度京橋に出て、時間を潰すことにした
京阪ガード下のオサレ変貌っぷりにびっくりし、グランシャトー辺りのコテコテな大阪感が失われていないのに安心しつつ、行きつけの某店へ。

カウンターの隅に陣取り、まずはビールを一杯。早々に日本酒に切り換える。
そつなく揃っている各地の地酒と、相変わらずの素晴らしい料理を味わう。
いつも写真を撮ろうと思ってはいるけれど、箸より先にカメラに手が出た試しがない。
それでもなんとか3枚だけ撮れた。

白甘鯛造り 
白甘鯛造り


水茄子揚げ浸し
水茄子揚げ浸し


稚鮎一夜干し
稚鮎一夜干し

他には万願寺、白青のアスパラ二種、カマス、鱧など。
酒は日本酒をとっかえひっかえ五種。自分がちゃんと味わって飲める日本酒の量は四合だとわかってるのに、ついオーバーしてしまった。お会計もがっつり一人半ぐらいな感じ。
もちろん大満足。こっちにも再訪しなければ。

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このページは、涼元悠一が2010年5月31日 00:14に書いたブログ記事です。

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