5月3日の午後。
静鉄県立美術館前駅で降り、やっと初夏っぽくなってきた陽気の中を、エントランスの坂をだらだら登る。駐車場はほとんど満車らしい。連休ただ中とあって、ピクニック目当てを含めてかなりの混みっぷり。いつもこの辺りにいる野良猫連中も、稼ぎ時とばかりうろうろしている。
徒歩15分ほどで静岡県立美術館着。
今日の目当ては、樹花鳥獣図屏風。
収蔵品とあって美術館的にも一押し、そこかしこにレプリカがあり、撮影も可能。ぞうさんととりさんがとっても可愛くキャッチーだし、記念撮影でも人気の様子。
そして本物は、展示中央あたりに鎮座していた。
「…なにこれ?」というのが最初の印象。
存在感からして特異。どの系列にも属さない、突然変異的な技法。たぶん日本最古のドッター。注文生産でこれをやったらクライアントに激怒されると思う。日本画というよりむしろ、アンリ・ルソーを連想してしまう。全体から『描いてて楽しかっただろうなあ』と伝わってくる。
『怪作』であると同時に『快作』。
個人的には、無難な風景画よりこういうのをたくさん買ってほしい>静岡県立美術館。
他にも、雄鶏が凛々しく雌鳥が優しくひよこがかわいい群鶏図もろもろとか、エロ根菜ストリップショー(殴)こと果蔬涅槃図とか、有名どころや大作が展示されていたし、自分ちに飾っておきたいような洒脱な小品もちらちらあったけど、結局樹花鳥獣図屏風の前で何度も立ち止まってしまった。印象強すぎ。
おおむね満足。
ただ、象鯨図屏風が前期展示だけで見られなかったのが心残り。
こちらは信楽のMIHO MUSEUM収蔵らしいので、機会があったら行ってみたいなあと。