浜松シネマe_raにて5度目のマイマイ鑑賞

5月1日、浜松はシネマe_raの初日にて、『マイマイ新子と千年の魔法』鑑賞。

『マイマイ新子』はこれで通算5回目。すでに自分の中ではスクリーンで観る作品として定着している。普段縁がない映画館に行けるのも楽しい。
新幹線の関係で浜松駅に早く着きすぎたので、いつもの喫茶店太陽で時間をつぶしてから、大事を取って開始30分前ぐらいに映画館へ。浜松では駅前のシネコンの方には何度か行ったものの、この館ははじめて。かつてはこの辺りに映画館が集中してたと記憶してるけど、これもシネコンの影響なんだろう。ちょっと複雑な気持ち。

3階の映画館フロアに上がると、もう二十人ぐらいが並んでいた。いい感じ。
盛況ぶりに繰り上げでロビー入場が早まる。1日なので1000円ぽっきり。先着順のポストカードと手作り缶バッジをいただく。缶バッジの絵柄が大変にわかってらっしゃる人の仕業で、ひそやかにウケる。

大変勇ましい缶バッジ

入場待ちの間、同行のささやまさひろとロビーをうろうろしていると、上映予告のポスターに『ミツバチのささやき』と『エル・スール』を発見。6月上映とのこと。両者とも素晴らしい映画。特に『エル・スール』は個人的オールタイムベスト10に入る傑作。若かりし頃、エリセ特集を観たいがためにさひろ氏と日比谷シャンテまで行った前科あり。
盛り上がっていると、館主とおぼしき方が「いい映画ですよね」と声をかけてくれた。ええ、そりゃもう。よもやまたスクリーンで観られるとは! そんなわけで6月に浜松再訪決定。旅費を貯めないと。

……と、『マイマイ新子』と関係ないところでしばし盛り上がっていると、「涼元さんですか?」と声が。これがなんと漫画家高橋むぎさま。浜松にお住まいで、マイマイ新子も観に来られるとは聞いていたけど、実際にお会いできるとは思っておらずびっくり&大変光栄。

三人で話していると、またも「涼元さんですか?」
今度はお二方。涼元のファン(!)で、『マイマイ新子』を観るためにわざわざ三重から来られたとのこと。恥ずかしいやら嬉しいやら。とりあえず「できれば二度観るといいです。一度目でわからなかったことを踏まえつつもう一度観ると、そうだったのかって発見がありますから」と『三重から云々は完全無視か』的な無茶プッシュを敢行。こういう方々のためにも、もっと上映館が広がるといいと思う。

そうこうしている間にも、お客さんが次々と来訪。ロビーにどんどん溜まっていく。この時点でどう見ても100人はいる。入れるのかちょっと不安になっていると、前上映が終わって入場開始。
普通の整理券で番号順に呼ばれる方式じゃなくて、扉が開いたらなしくずしに入場。プチ席取り合戦状態。これはたぶん、普段あまり混むことがないからだなあと邪推。さすがにど真ん中は心苦しいので、やや隅に腰を落ち着ける。

「メガネを忘れた方いませんかー? ……いませんかー? では売店で預かりまーす」というアットホームな前説の後、予告編も何もなく、聞き慣れたavexとマッドハウスのサウンドロゴ、いきなり本編開始。実直で漢らしい。

以下、感想箇条書き。

・席は9割方埋まっている感じ。ご年配の方や子供さんが目立つ。

・もっと騒がしいかと思ったら、かなり静かに鑑賞できた。子供は身勝手で飽きっぽいけれど、その実場の空気を読んで、周りの大人がいいものだと思っているのがわかれば、自分もわからないなりに吸収するものだと思ったり。

・カメラワークの巧妙さ。むしろさもないツナギ部分でカメラを動かし、大事な芝居では固定させるのは、ノベルゲームの画面演出や立ち絵運用に置き換えても勉強になる。気をつけないと逆にしがちなので。

・そしてやっぱり平安パートの考証はスゴい。その昔こんなの書いたのを思い出したり。
益体なしサポートin the AIR(公開終了してるけどちょっとだけ限定復活:リンク切れ多々あり注意)

・ご年配の方とおぼしき笑いが時々生まれるものの、それもクライマックス以降は聞こえなくなる。

・何度観ても短く感じるのは、エピローグの超駈け足っぷりのせいもあるなあ。

・終了。自分的に課題だった貴伊子の心情がかなり理解できた(つもりな)ので大満足。

・シートは快適。敢えて言うなら、音がやや小さかったような。劇場のポリシーなのか、子供さんへの配慮なのかな?

・片淵監督が登壇……どころか、扉から姿を見せたとたんに満場の拍手。

・監督曰く、「できれば2回観てください。1回目ではハテナってなったことが2回目だとわかることがあるらしいので」『あれ、この台詞さっきどこかで…』赤面しきり。いや、監督からの受け売りじゃなくて、涼元もホントにそう思ったんですって。

・シネマe_raの館主登壇。やっぱり上映前に話した方だった。大入りに感無量のご様子。これからもいい映画をかけ続けてください。とりあえず6月に大阪からエリセ観に来ますので。

終了後、むぎさまとあれこれ関係ないことまで話した後にシネマe_raを辞し、いつも通りにマインシュロスへ。新子感想を肴に地ビール堪能。そのまま6時まで居着く。充実した1日。
敢えて言うなら、鰻を食べられなかったのだけが心残りだったけど。






上記『貴伊子の心情』について、オマケ兼自分メモ書き(ネタバレにつき反転で)

貴伊子にとっては(彼女自身はっきりと自覚はしてないけど)、千年前の女の子を想像する=母親の少女時代を想像する=それができれば母親のことを忘れずにいつでも思い出せる、となっているのだと思う。このことは牛車が散らす白い花びら→花嫁のヴィジョン切替で示唆されている。このラインで貴伊子の心情を辿っていくと、夢の中で諾子となったことと、子供の頃の母親の写真を見つけたことが、貴伊子の中では等価であるとわかる。

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このブログ記事について

このページは、涼元悠一が2010年5月 1日 23:53に書いたブログ記事です。

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