アバター(下部ネタバレ注意)

昨夜、アバター観てきました。

誰に訊いても「話はともかく映像がすごいから一度観るべき」と言うので、興味はあったのですが、会社の原画さんとデザインさん(二人とも二度目の鑑賞)に誘われて、業務終了後109シネマズ箕面へ直行。もちろんIMAXシアターで、前列中央近くの特等席。

感想は端的に言って……話はともかく映像がすごかった。
そのまんまですが。

3Dはもっと酔うというか、違和感があるかと思っていたら、簡単に慣れました。メガネをかけなくてよくなったら爆発的に普及しそうだけど、まだ先の話だろうなと。
3Dよりもむしろ、CG全体の順当な発展がスゴかったです。人間から造形を離したキャラクターをわざと用いることで、逆にCG的な違和感を薄めるってのが、技術的に見たアバターというアイディアのメリットだと思うんですが、それでもあのヒロインに感情移入できてしまうというのは、仕草や表情付けの丁寧さや自然さがあってこそのわけで。パンドラの自然描写が素晴らしいのは言うまでもないし。
企画者としては、お金の使いどころ、(話をシンプルにするという意味で)力の入れどころと抜きどころのバランスが勉強になりました。

あと蛇足ですが、個人的にはマイマイ新子と千年の魔法をもう一度観に行きたいと思いました。大阪再上映も決まったし、会社で有志を募ろうかなあ。

↓以下、アバター細部感想代わりのオマケというか、物語的ツッコミどころの一例。(ネタバレ含むので注意。観賞後閲覧推奨)


Q:彼女にこっぴどく振られてしまいました。どうしたらいいでしょう?

A:裏切り者とかアウトオブ眼中とか、さんざんな言われようでしたね。こうなってしまったのは、あなたが変な外人だからとか、尻の穴よりも汚いゲスな海兵隊員だからとか、所かまわず寝ちゃうからとか、先祖代々の土地を奪わんと取り入った鉱山会社の手先だと彼女に露見したからとか、理由はいくつか考えられますが、どれもこれも些細なことです。
あなたが振られた真の理由……それはズバリ! 乗ってる車がショボいからです。
ここは一か八か、最後の賭けに出ましょう。狙うのはもちろん、大きくて赤くて、普通の人はまず乗りこなせないやつです。以前彼女とデート中、アオられて散々な目に遭ったでしょう。あいつです。彼女のお祖父様も若い頃に乗ってブイブイ言わせていたというアレです。

大学時代から大事に乗っているワゴンR(エアロ仕様)に因果を含めて中古に出したら、早速お店に突撃しましょう。こういったディーラーの店員は、基本金持ちしか見ていません。とにかく上から行けば大丈夫です。理論上は。
250年賦でもなんでもいいので、首尾よく赤い車をゲットしたら、法事の会場にこれ見よがしに乗り付けましょう。それだけであら不思議、あれだけかたくなだった彼女が、びっくり仰天&もうどうにでもして(はぁと)なヘブン状態に一瞬でチェンジ。沈痛な面持ちだったご親族の皆様方も、フェ○ーリフェラー○と口々に大騒ぎ。
充分にウケを取ったところで、弔辞を述べましょう。内容は「俺が○ェラーリだ」を主題にして、あとはなんか勇壮なことを適当に言っておけば大丈夫です。自信と威厳に満ちあふれた態度に、彼女のお母様はおろか、彼女のモトカレまでもがあなたに一目置くこと請け合い。あなたのせいで残念なことになってしまった彼女のお父様も、草葉の陰でご満悦でしょう。これで万事解決です。

……いや、いい映画だったし、チケット分以上は確実に楽しめたんですけどね。
画面のスゴさに目を瞠っただけに、よくも悪くもカンタンなシナリオが浮くというか。3Dだけに。


ライター的な文句をもうちょっと補足しますと、あの場面は大きな赤いアレを もっと神聖なものとして(単なる生態系の頂点的な描写でなく)事前に示しておくか、片腕食いちぎられるぐらいの大激闘を見せつけないと、失われた信頼を取り戻すという大仕事が、えらく即物的手段で解決しちゃったなあという肩すかし感が先に立っちゃうよなあと。

twitter過去ログ
twilog

このブログ記事について

このページは、涼元悠一が2010年1月16日 00:00に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は「夏の終わり。」です。

次のブログ記事は「わたしの小さなたからもの(『マイマイ新子と千年の魔法』遅ればせながら礼賛)」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。