今年の桜はまだ心の準備ができる前に咲き始め、花見頃の週末をスルーして粘って満開になった挙げ句に、嵐で一日のうちに散るという大波乱。それでも、毎年必ずチェックしている某小学校の桜は、それは見事に咲いていました。
だれもいない校庭の隅、逆上がりの補助台と桜のツーショット。
薄曇りの白い空に、枝の先から煙って溶けてしまいそう。
「君、今年も綺麗だけど、少しばかり早いねえ」
「ありがとうございます。でも、こればっかりは自分の思い通りになりませんし」
「ちょうど休みに重なってしまって、残念だね」
「ええ、新しい子たちにも見てもらいたいなあ…なんとかなりませんかね?」
「なんとかしてあげたいけれど、私は時を示すだけで、動かすことはできないからなあ」
やがて薄日が射して、かすかに香りが立って。
そんな感じにはじまった春を、近況代わりに。