planetarian ~ちいさなほしのゆめ~ チャリティー版発売発表に寄せて

涼元です。
えー、古巣の話で恐縮なのですが。
5月12日にplanetarian ~ちいさなほしのゆめ~ の東北地方太平洋沖地震被災地チャリティー版が発売されるとのこと。
詳細は販売元であるプロトタイプさまのサイトをご覧いただくとして、販売元利益全額が日本赤十字社に義援金として寄付されるという、かなり太っ腹な企画。関わった者の一人として計らいを誇らしく思い、ここに謹んで紹介させていただくものであります、が。

planetarianがどんな話かご存じの方におかれましては、「チャリティーはいいけどよりにもよってこのタイトルかよ!」というツッコミがあるかと思います。企画兼シナリオを担当した本人も、ちょっぴりそう思っているぐらいなので。

そこで、planetarianをご存じない方に向け、ちょっと補足的箇条書きを。

・心が上向く類の話ではないです。「悲しいのはもうたくさん」という方は回避推奨or3000円は他に募金するべきかも。
・心が上向く類の話ではないです。「悲しいのはもうたくさん」という方は回避推奨or3000円は他に募金するべきかも。

大事なことなので二度言いました。
ではでは、改めまして箇条書き開始。

・planetarian ~ちいさなほしのゆめ~は、2004年にPC(Windows)用ダウンロード版としてKeyブランドから発売されました。
・その後、PC用パッケージ版、PS2版、FOMA版などが発売され、現在に至っています。
・それぞれの版でボイス(キャラクターのセリフ音声)がなかったりヒロインだけボイスありだったり全登場人物フルボイスだったりする上に、サイドストーリーを収めた小説やそのCDドラマ版もあったりして、かなりゴチャゴチャしてます。
・今回のチャリティー版はSONYのポータブルゲーム機PSP用のUMD(ディスクメディア)版でフルボイスです。PSPをお持ちでないとプレイできません。もともとPSPのUMD版は諸事情あって限定版としてしか発売されていませんでした。これが『幻の』と言われるゆえんです。
・いわゆる美少女ゲームに見えますが、中身はそうでもありません。(作者比)
・ざっくり言うと、『近未来を舞台にした叙情系短編SF』です。
・叙情系と言ってもふわっとしたファンタジーではありません。
・むしろ終末世界もので、ミリタリー色ちょっと強めです。
・廃墟の街とその中にあるプラネタリウムが舞台です。
・恋愛ものではありません。というか、恋愛対象になる女の子は出てきません。そもそも回想シーン以外には生き物は出てきません。(主人公以外は)
・短いです。普通にプレイして3時間弱、じっくりとセリフ音声を聴いて、地の文まで吟味しつつ読んでも4時間あれば終了できます。
・「女の子の絵が出てこないところはスキップで飛ばそう」という風にやっていると、30分もかからずに終わって騙された気分になります。
・『何の希望も見いだせない世界の中で、変わらずに輝いている夢のかけらを見つけてしまったら…』これがテーマのひとつです。

これ以上の内容には触れません。
購入ご検討の一助になりましたら幸いです。
…もうひとつ、大事な項目を忘れていました。

・ゲームではなく、キネティックノベル(画像とBGM効果音とセリフ音声つきの読み物)です。アドベンチャーゲームのような選択肢はありません。主人公に自分を重ねて、展開を最後までなぞっていくだけです。 たったひとつの結末に何を感じ、それによって何をなすかは、人それぞれかと。

planetarianのパッケージングされたストーリーとちがい、未来は自分たちの力で書き換えることができます。
現実は想像なんて簡単に飛び越え、日々の暮らしや幸せや夢を簡単に打ちめす。今、みんなが痛いぐらい感じていることです。
でも、この大災害が現実なら、生き延びた方々がたくさんおられるのだって現実です。
だからこそ、今まで以上にみんなが幸せになっていく未来だって、必ず選び取れる…
そんな意味のことを書こうとして、手が止まってしまいました。
やっぱり…綺麗事だからです。

失われたものは戻ってきません。被災された方々が最低限の生活を取り戻すのでさえ、きっと長い時間がかかるでしょう。
この状況で『創作』は無力です。「今は娯楽なんて後回し」というお声も当然です。
ですが、生きるのに精一杯な苦境でこそ、人には見上げる星が必要でしょう。
真っ暗な夜を昼間のように明るくする力はありません。
たとえまがいものであっても、天井に綺麗な星を飾ってみせる。
それがもの書きの仕事だと、自分を奮い立たせています。

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このブログ記事について

このページは、涼元悠一が2011年3月30日 22:44に書いたブログ記事です。

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